これは亡くなった方が着る死装束(旅支度)の一部となります。
死装束とは冥土に旅立つときの衣装(旅支度)のことです。「経帷子(きょうかたびら)」と呼ばれる白い着物を着て、手には手甲(てっこう)、脚には脚絆(きゃはん)を付けます。頭からは頭陀袋(ずだぶくろ)を下げ、その中には三途の川の渡り賃である六文銭(ろくもんせん)を入れます(もちろん紙製)。さらに網笠をかぶり、草履を履き、利き腕には杖を持ちます。
天冠ですが、これは「閻魔大王に失礼ならないように冠をつけて正装をしなければいけない」「死者が地獄のタタリから逃れるために」「身分の高さを冠で表現した」と諸説あります。
天冠は白い三角布だけのことをさすわけではありません。お雛様の頭についている冠も天冠と言いますし、能の装束のひとつにも天冠があります。能の場合、高貴な役柄の人がかぶるものとして使用されたり、神様や天女などを表現するために使用されたりしているようです。そう考えると、死者に付ける天冠は「最後に高貴な身なりで送ってあげたい」という昔の人の思いが込められているのかもしれません。
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